巨匠に愛されたカメラ Minolta Hi-Matic AF2
Minolta Hi-Matic (ミノルタ ハイマイチック)っていうとEとかFとかが有名ですが、AF2MD ってモデルがあるんです。
初代 Hi-Matic は昭和37年に発売されて、最後のモデルであるこの AF2MD は昭和57年でした。実に 20 年間もいろいろなモデルで発売された、かなり長い歴史を持つシリーズです。(既存モデルの色違いモデルも含めるともう少し長い間発売)
AF2MD はそのモデル名からわかるとおりオートフォーカス機能が搭載されたモデルで、露出のコントロールもできないし、シャッタースピードの調整もできないので、シャッターボタンをおすだけの本当に簡単なカメラです。(オートフォーカス機能が付いた Hi-Matic が発売されたのは3年前の昭和54年です)
家族のスナップ用として元々 Mionolta は開発したと思うんですが、あえてこのカメラを愛用したプロの写真家がいます。それは、ストリート写真家のRicky Powell。実際に Minolta AF2で撮影したアンディウォホールとバスキアのポートレートがこちらです。内蔵のフラッシュを使ったんでしょうか。ラフな仕上がりがニューヨークのストリートとマッチしています。
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こんな現代アート会の巨匠を撮影するのにつかったのが、ボタンを押すだけのコンパクトカメラだなんて、、、。簡単には信じられないですが事実です。このことをしったミノルタの方はなんて思ったんでしょうね。
Ricky Powellはヒップホップ文化とストリートフォトグラフィーで有名なニューヨーク在住の写真家です。1980年代にBeastie Boys(ビースティ・ボーイズ)のツアー写真の撮影でキャリアをスタートさせたのですが、その写真もMinolta Hi-matic を使っています。
でもインタビュー動画でリッキー自身が語っていることをよく聞くと、あんまりカメラ自体は重要じゃ無いって言ってますね。
「Minolta Hi-Matic AF2っていうカメラだよ。でも型番自体は別にとくに意味は無いんだ。」
ストリートフォトグラファーは大抵にたようなことをいうことが多い気がします。森山大道さんも、やはりニューヨーク在住のソールライターもカメラなんてなんだっていい。みたいな発言があります。
機材じゃ無いんですよね。重要なのはストリートに居続けること。
Ricky Powellのことを知ったのは、Photographers in New Yorkというドキュメンタリー映画です。
「Photographers in New York(フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク)」 | NEW NEW YORK CLUB -- Jiyugaoka /Azabujuban
この映画をみて、私もミノルタ ハイマチックが欲しくなってしまい、色々探したところ AF2 をヤフオクで 1500円 くらいで落札しました。ジャンク品ってことだったんですが、普通に問題なく動いたのでお買い得でしたね。
実際にモノクロのフィルムをつめて試し撮りした結果はこちら。
3枚ほど空の写真
西荻窪の飲み屋
英語ではこういうコンパクトなオートフォーカスカメラのことを Point & Shoot カメラとか言ったりりします。パッと取り出してさっと撮るみたいな意味だと思うんですが、英語で言うとかっこいいですね。
盛大なピンボケもあります。最短焦点距離が長めなのかもしれません。ちゃんと確認して撮影してなかった。
単三電池2本で動くので、電池が入手しにくいということもありません。でも電池の消費が激しい。1本撮り終えるとすぐになくなります。注意点としてはフィルム巻き上げの音がすごい大きいところです。人混みの中で使うと確実に振り向かれます。
目立たない真っ黒なボディがストリートにマッチしたのが、このカメラがRickyに愛された最大の理由でしょうか?正直なところKonicaやオリンパスでも似たようなカメラをこの時期には発売していましたからね。 でも撮っている撮影者の気分に合うというのは大事なことなのかもしれません。
今度は自分もRickyのように好きな音楽を聞きながら、お気に入りのフィルムをつめて撮影に出かけてみようかなと思います。今度はカラーフィルムを詰めて。