モノクロフィルムの違い オルソクロマチックとパンクロマチック
フィルムの種類っていうとISO感度とサイズくらいだと思っていましたが、他にもあるんですねー。今日知りました、、。
それはオルソクロマチック (Orthochromatic) とパンクロマチック (Panchromatic)というフィルムの種類。
この2つの違いは簡単にいうと、フィルムが反応可能な光の領域の違いです。
オルソクロマチックは、人間が見える光(可視光)のうち赤い色には反応できないフィルムです。
これに対して、パンクロマチックは可視光ほぼ全域をカバーします。
パンクロマチックは英語で書くと、Panchromatic。接頭語のPanには、全体のという意味がありますから、Pan 全部に Chromatic 色彩のついた フィルムということです。
Pan-pacific(直訳は全太平洋、環太平洋のこと)とかPan-american (全米)のPanと一緒と覚えるとわかりやすいですね。
フィルムの歴史からいうとオルソクロマチックが先です。Orthoには標準のという意味がありますが、赤い色に反応しないのが標準というのは意味がわからないので、もともとあったフィルムとかいう意味で、標準なのかもしれません。
このあたり歴史についてはこちらが詳しいです。(英語)
では両者の実際の撮影の違いはどうなるのかと言うと、オルソクロマチックは赤色に反応できないので赤い色の部分は、黒っぽく写ります。どんなに赤の輝度が高くても黒っぽく写るということですね。
このため上記のリンクにも書かれているように、初期のモノクロ映画では、人間の肌の色を適正な灰色に見せるために、青とか黄色のメイクで調整していました。
かわうそ商店さんのブログに2つのフィルムで撮り比べした結果があります。
かわうそ商店さんの最後のコメントが、オルソクロマチックを使って「女性ポートレートなら、唇が強調されたエキゾチックな作品が撮れるかも〜」となっています。
女性のポートレートを撮ったら赤い口紅が黒く強調されたりしてドラマチックになるかも、ということでしょうかね?
元々は、赤い色が暗くなるという欠点を克服するためにパンクロマチックフィルムが開発されたわけですが、パンクロマチックが当たり前の現代では、逆にオルソクロマチックを使ったほうがドラマチックかも、という歴史に逆行している感覚になるのは面白いですね。
ちなみにオルソクロマチックフィルムを使わなくても、赤い口紅を黒く際立たせる方法はあって、それはグリーンフィルターを使う方法です。
9.モノクロフィルムを使う・Ⅰ - 月刊くもん|フィルムを通して写真を学ぶ
グリーンフィルターを使うと、緑色以外の光が減少します。その結果色相的に緑と反対の位置にある赤色の減少幅が大きくなり、赤色が黒っぽくなるということですね。
フィルターを効果的に使うのはモノクロ撮影の常識のようなので、今後色々揃えていこうと思います。