あとで読み返すためのお父さん日記

色々忘れちゃうので残してます。

ぼくが Nikon F3 を手放す理由

「Nkkon MFフラッグシップ機の決定版」

「20年間愛された名機中の名機」

「F一桁シリーズ最高の完成度」

 

いずれもF3を紹介するときによく使われる言葉だ。

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Nikon F3の記事なのにNikon FGの写真ですみません。デザイナーは一緒です)

 

ぼくもそんな言葉に惹かれてF3を購入したものの一人。2016年からフィルムカメラを使い始めたのですが、自分で購入した最初の1台がNikon F3だ

 

それ以来ハッセルブラッドやPentax67。いろいろなトイカメラなども使い倒した結果、今回Nikon F3を手放すことに。

 

手放す理由について書く前に、そもそもF3はそれまでのNikonの一眼レフのどんな課題を解決したのかを振り返ってみる。

 

Nikon F3で実現したのは絞り優先AEの実現。いまとなっては当たり前すぎるこの機能ですが、F3が開発されていた時代ではまだまだ新しい技術。

 

すでにニコマートELでは絞り優先AEは実現できていましたが、F一桁機に組み込むには信頼性と耐久性を大幅に向上させる必要があったのが課題に。

 

この機能を実現させた結果としてファンダー側で測光を行うのではなく、ボディ下部に埋め込まれた受光素子で測光を行う形での開発になった。

 

ボディ下部に光を届けるために、メインのミラーには無数の小さな穴が空いている。このピンホールを通してメインミラーの後ろに配置してあるサブミラーに光を届け、サブミラーの反射でボディ下部の受光素子に光が届く仕組みになっています。

 

実際にNikonのメインのミラーをよく見るとピンホールがあるのがわかる。劣化しているわけじゃないですよ。こういう仕組み。

 

当時としてはプロのハードな利用にも耐えることができる耐久性と最新の技術を両立させるという難しい課題に答えた革新的なF3ですが、今から振り返ってみると結局F3が解決してくれたのは絞り優先AE

 

絞り優先AEを搭載したフィルムカメラは今となっては今ならたくさんあるし、本当にF3がぼくのような趣味でフィルムカメラを楽しむ人に必要なのか考えてみたいと思う。(あらかじめ断っておきますとアンチニコンではありません。)

 

検証1 プロ機のような耐久性は必要か?

正直なところ趣味レベルの私は月に使うフィルムは多くても5本くらいです。1本も使わない月だってあります。そして他にもフィルムカメラがあるためNikon F3で全く取らない月がしばらく続くときもあります。

そうすると年間でも最大6本くらい。シャッター回数にして200回くらいでしょうか。こんな少ないシャッター回数でプロ機のような耐久性は必要ないでしょう。

 

検証2 F3の高機能を必要とする撮影シーンはあるか?

明るいファインダー、ミラーアップ機能などNikon一桁ならではの様々な安定感のある機能。これも趣味レベルでは必要でしょうか?暗い室内でわざわざフィルムで撮ることは少ないですし、マクロ撮影や、夜景撮影などで重宝するミラーアップ機能も、あえてフィルムで取る機会がほぼないです。

私がフィルムカメラの撮影に求めているのは、デジタルカメラにはないノスタルジックな雰囲気であったり、ちょっと失敗したかな?という写真が味であったりと。それまでフィルムカメラがなんとかして克服しようとしてきた課題に逆に魅力を感じているので、これもあえて高機能なフィルムカメラを必要とはしない理由になります

 

検証3  絞り優先機能の恩恵がどれだけあるか?

F3が乗り越えた課題絞り優先機能。この機能だけをいうならこれを搭載したカメラはすでにたくさんあります。当然ですね、Nikon F3の発売から長い年月が経過しているわけですから。ですからNikon F3じゃないとだめだと言う理由にはならないかなと思っています。

 

さて今度は趣味でフィルムカメラを楽しむ上でのF3のデメリットです。

 

デメリット1 重い

重いです。とにかく重い。子供の写真を取るのがメインの私にするとこの重さはデメリットになってしまいます。これだけ重いなら中判カメラ

 


でも持ち出すか?という気持ちにもなりますし、もっと気軽に取りたいなら、軽いフィルム一眼レフを選びたくなります。

 

デメリット2 電子式

F3の致命的といえそうなデメリットだと思っているのですが、電池が切れてしまうと、シャッターが切れません。緊急用に1/60の機械式シャッターがありますが、露出計を別に持っていない限り使うのは厳しいでしょう。

 

色々と書いてしまいましたが、結局は今の所の私の撮影スタイルに合わない、というのがNikon F3を手放す理由です。

 

もちろんF3の利用する上でのフィーリングについてはさすがと思えるポイントがたくさんあります。フィルム巻き上げの滑らかさ、シャッター音、ずっしりとした質感。どれをとってもフラッグシップ機で撮影しているという実感を感じさせてくれます。

 

こうした撮影という行為そのものに魅力を感じる場合はF3はおすすめだと思いますし、何より外見がかっこいいですね。

 

しかし写真という結果に対して趣味レベルでアプローチする場合は、必ずしもF3はベストという選択肢にはならないのではないかと思っています。

 

Nikon F3を手放すという決断をしましたが、フィルムカメラの楽しさを教えてくれたのはF3だったと思っています。次のオーナーのもとでも、素晴らしい写真を沢山残してくれればと願っています。